りゅーそうブログ

『融けるデザイン』を読んだ

読書

2026/06/19 23:00

『融けるデザイン』を読み終えたのでその感想を書きたいと思います。

この本の中のエピソードでデザイナーの深澤直人さんが、傘立てのデザインで特に立てかけたりするようなデザインではなく、人が壁に傘を立てかけるという日常の動作を研究して、下に傘をさすだけのシンプルな穴の傘立てを設計し人々の日常の中に融け込むように作ったというエピソードが強く印象に残った。

その人の動作や傘という道具の所作の延長として、傘立てを日常の中に置き、それを最低限のパーツで実装しているところに凄さがあると感じた。

人の日常や動きを研究しそれをデザインに落とし込むことの大切さと、ソフトウェアにおいてはさらにその間に通信と現実からいわばかけ離れたレイヤーが挟まるので、日常に融け込ませるデザインを作ることの難しさを痛感した気がする。

「いいデザインとは、いい時間」というシャープのキャッチコピーの引用も強く印象に残っている。それは日常のフローを新しい体験として提案し、ソフトウェアを使うだけで気づけば完結している。そのことでもっとも大切にしていることに時間を割くことができるという方向で解釈をすることもできる。

またその操作をしているときに、その体験をいい時間と感じることもできたりする。いい体験ができたというのは、私がやりたいことに対して障壁なく思考したことがそのまま形になっているということなのではないか、と日々ソフトウェアを使っていると思う。

AIがこれだけ流行っているのも、なんとかハーネスを組んでまで操作しようとするのもその体験を追い求めているからなのかもしれない。

と考えるとそのようなAIでの業務フローを組むときも体験を提供すること。いい時間を作ることを意識しなくてはならないと思う。AIに限らないが、普段の仕事や1つの仕事にも実は「融けるデザイン」というのが求められている。そんな気がする。

凄そうなワークフローを組んでも、それに日常的にアクセスしたり、気づいたら日常に現れてきて気づいたらそのソフトウェアを使って何かを達成している。そんな体験を目指していきたい。

融け込む体験を今は特にエンジニアは考えて作る過渡期ということなのかもしれない。

あとやはり「重要なことはその万能性を一般の人にそのまま提供しても、「何でもできます」では何も提供していないことと同じであるということだ。」という冒頭の章での記述は忘れないようにしておきたい。