りゅーそうブログ

AIと向き合うことは、自分と向き合うこと(『部下としてのAI』を読んで)

読書

2026/07/15 23:14

牛尾剛さんの「部下としてのAI」を読んだ。

AIとの向き合い方について、牛尾さん自身や同僚とのエピソードを交えながら書かれた本書。

この本を読んで一番印象に残ったのは、「理解」を深めるというキーワードでした。

率直にいうと、私は昨今のAIの流れの中で漠然と成長が鈍化してしまっているような感覚がある。そんな中で1つの指針となるような本だった。

センス=ディテールの解像度

本書では「センス」とは「ディテールの解像度」だと定義している。

その上で、ディテールの解像度の具体として以下のようなエピソードをあげていた。

  • センスのいいとされるエンジニアは「次にどうやったらできるのかを考えて、調べて、実際にやってみる習慣が徹底している。」
  • AIとの対話で、自分の中の微細なフィーリングや曖昧な感覚も解像度高く言葉に落とし込んでいく
  • 他人の頭と時間をどれだけ正確に想像できるか
  • 問題解決で「どこかもっとも可能性が高いか」を探していた。でもポールは「どこが最も簡単に可能性を狭められるか」というシンプルなファクトを積み重ねた
  • 一流エンジニアたちは、「思い込み」を徹底的に排除している。設定値を変えて、実際にクエリを投げて値を確認するという事実を積み上げる
  • 自分が無限に時間を使っても良いと思っていると、相手がその長文を読むのにどれだけ時間を使うかについて無頓着になってしまう。

要はセンスというものの正体はディテールの解像度を高めるための行動や習慣が高速で、失敗を恐れずにファクトをひたすら積み上げていくという行為にすぎないということなのだと私は要約した。

本書ではAIを、ディテールの解像度を高めるためのブースターとして捉えているように感じた。

問題解決の調査や要件の整理など、対象への解像度を高めるためにAIを使う。

そうなるとプロンプトは「〇〇やっておいて」だけではなく、その成果物に対して解像度を高める質問であったり、システムについての背景を踏まえたプロンプトに自ずとなっていく気がした。

この考えを自分なりに整理すると、AI活用は大きく2つに分けられると思う。

  • 未知の領域に対して、AIの知能で問題解決をする。
  • 既知のシステムや知識をAIに与えてガードレールに沿ってAIを自走させる。

前者では、AI活用において自分の解像度を高めるというアクションが必要になってくると思う。

要件定義や新機能開発などが当てはまるだろう。

この場合は、雑にプロンプトを投げるだけでシステムが完成する未来もあるかもしれない。

そうした未来が来る可能性はある。しかし少なくとも現時点では、そのやり方に再現性はない。

AIの成果物に対する解像度を高め、自分の「理解」をブーストする。その方面の活用をしないと自分の思考が停滞してしまう。そんな気がした。

後者は自分が持つ知識や判断基準をシステムに与えるもので、コンテキストとしてskillなどで渡すことも考えられる。

ドメイン知識であったり、コーディング規約のようなシステムから読み取れる内容や、自分の知識をプログラムに落とし込む作業だ。

それはまさに自分がそのシステムに関わっている意義の1つでもあって、AIでの解決を第一選択肢とする著者の主張はしっくりきた。

対象となるものや人のディテールまで解像度を上げられているのか。自分の認識は追いついているのか?

その観点でAIと向き合うことが大切そうだ。

また組織で働く上では、他の人の理解度のレベルがどれくらいにあるのか?把握すること、そしてメンバーの理解度を上げるような振る舞いがこれからの時代求められる。

開発スピードはAIのパワーで原理的には平等に与えられるスキルとなった。

対象への解像度を高め、その解像度をチームメンバー(ここにはAIも含まれるのかもしれない)と共有することがより必要になっていくかもしれない。

AI時代こそ生活を整える

牛尾さんの前著の「世界一流エンジニアの思考法」でも書かれていた部分であるが、生活を整えるのも一層大事になってくるように思えた。

よりAIによる判断コストや脳負荷が高まっていく中で、バッファを保つということ。健康のために朝からランニング・トレーニングをすること。

牛尾さんは脳の判断コストを減らすために毎日同じメニューのものを食べているらしい。一流のエンジニアは違うなと温度感を正直にいうと感じた部分だった笑

自分の人生においてプログラミングにそこまで傾倒はできないので、なるべく家事などやりたくないことは自動化、ルーティン化して脳への負荷を減らしていきたい。

最近だと私はAppleのリマインダーをちゃんと使うようにして、毎日するべきことを通知して取り組むようにしている。

やるべきことの判断をしないで、本当にやりたいことに集中できる日常を作っていきたい。

またAIで作業の並行量が可能であればいくらでも増やせる中で、自分がやりたいことにより熱中してやり切るということも大切になってくると感じた。

本書でもあるように

「納得いくまで、好きなだけやる」

やり切りたい。

AIがあっても変わらない現実

残酷なことに、本体(自分自身)が脆弱だと、むしろAIでゴミを大量生産することになる

はい。ソフトウェアエンジニアがAIを使いこなして大逆転とかはなさそうなので肝に銘じたい。

自分の理解を深めるための勉強を続けなくてはいけない。


「部下としてのAI」をみて、心に留めておきたいことを書きました。

AIとどのように向き合っていくのか?

それは結局詰まるところ、自分とどう向き合うのか?という問いなのだろう。

AIがあろうがなかろうが、本質は変わらない。

探究し、学び、経験をして、自分自身の解像度を高め続けること。

AIを部下として扱い、自分を大切にする。そのような向き合い方をしていきたい。